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「虎に翼」とジェンダー平等(令和6年5月)


 新年度が始まって、すでに1か月が過ぎました。新入生の皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。新しい生活が始まって、エンジョイしている方もいらっしゃれば、住み慣れた地域を離れて、少しブルーな気持ちという方もいらっしゃるかもしれません。梅雨に入る前のこの季節は、上越は、暖かくて晴れの日も多く、花々も咲き乱れ、素敵な時期なので、ときどきは外に出かけ、気分転換を図りながら、人生の目標達成に向かって歩んでいきましょう。

 さて、私は、この4月からNHKで始まった「虎に翼」という朝ドラを観ています。毎日15分という放送時間がまどろっこしくて、ノベライズ本まで買ってしまいました。まだ上巻しか出ていませんので、最後まではわかりませんが、「なるほど、こんな風に映像化されるのか」などと思いながら、観ています。

 最初、「虎に翼」というタイトルを見たときに、どういう意味なのだろうと思いました。調べてみると、「鬼に金棒」と同様の意味であるとわかりました。しかも、中国の思想家である韓非子に由来することわざだそうで、今まで、なぜこの言葉を知らなかったのだろうかと、少し恥ずかしい思いがしました。

 物語は、日本で初めて女性として弁護士、裁判官、裁判所長を務めた三淵嘉子(みぶち よしこ、1914年〈大正3年〉 - 1984年〈昭和59年〉)さんをモデルとして創られたフィクションです。フィクションなので、主人公の名前は猪爪寅子(いのつめ ともこ)になっていますし、史実に忠実というわけではないのでしょうけれども、描かれている女性の社会的なポジションが、現代からは考えられないほどに差別的です。

 たとえば、ドラマの中で、離婚で決着がつかない夫婦が描かれていました。妻がせめて母の形見の着物を返してほしいと訴えるのですが、当時の法律では、妻の所有物もすべて夫が管理することになっていました。こうした法律は、現代に生きる私たちから見れば、信じがたいものです。(ドラマでは、最終的には、着物は返してもらえました)

  今後、ドラマの中で描かれるかどうかはわかりませんが、女性の国政参加が認められたのは1945年〈昭和20年〉のことですから、ドラマで描かれている当時の状況の中では、庶民の感覚としては、当たり前のこととして受け入れられていたと言えるではないでしょうか。

 そう考えると、今の私たちの人権感覚も、20年後、30年後に振り返ったとき、「あのときは、それが当たり前と思っていたのだから、ひどい話だよね」となることは、おおいにありえます。

 男女の違いによって生じる格差を数値化したものとして、世界経済フォーラムという組織が出している「ジェンダーギャップ指数」があります。その2023年版を見ると、日本は、146か国中、125位です。日本の場合、とくに平等からほど遠いのは、政治と経済の分野です。国会議員の男女比や閣僚の男女比、そして、労働参加率や男女の賃金格差などが著しく不平等な状態になっています。それに対して、識字率や、初等教育や中等教育の就学率は、いずれも1となっていて(完全平等が1、完全不平等が0という数になります)、中等教育までは、格差はないのですが、高等教育になると少し格差が生じています。

 私も、「「虎に翼」は昔の話だから仕方ない」などととらえているとしたら、現状認識が甘いと指弾されますね。現状でも、日本は国際的なスタンダードにまで達していないのですから。国連が提示している持続可能な開発目標(SDGs)の5は、「ジェンダー平等を実現しよう」です。教職員の皆さんも、学生の皆さんも、こうした問題に敏感であってほしいと思います。

令和6年5月8日
学長 林 泰成


このページは上越教育大学/総務課が管理しています。(最終更新:2024年05月08日)

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